元北海道警察刑事、著書「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」や映画「日本で一番悪い奴ら」のモデルとなった稲葉圭昭のコラム
「警察活動と探偵業務」
元刑事だからわかること、探偵となった今だから伝えたいことを書いていきます。
今回は警察活動と探偵業務についてお話ししたいと思います。
警察の活動は、警察法と警察官職務執行法(警職法)に基づいて厳格に定められています。
この警職法が皆サンが目にする警察官が行う仕事の根拠となっています。
例えば、職務質問(職質)も警職法で規定され、一定の要件があります。
実際には多くの場合、この警職法は無視されていますし、する側の恣意的な職質が多いように感じますが…それについてはまた別の機会に・・・
その他にも保護活動(泥酔者・迷子・応急救護を要する者に対して)、避難措置(生命、身体、財産に危険・損害・災害に対して)、犯罪の予防及び抑止(予防・警告・制止)、立入(予防・犯罪・危害・妨害に対して)、武器の使用(犯人逮捕・逃走防止・自己や他人に対する防護・抵抗制止)とされ警察官は警職法という法律の範内でその活動が厳格に許されています。
一方、探偵業務は探偵業法(探偵業の適正化に関する法律)という業務を規制する法律があります。
この法律の目的は、探偵業務の適正化と個人・法人の権利利益の保護で探偵を営む者は管轄警察署の生活安全課に届出をしなければなりません。
警察官と違って探偵業務に捜査権などの特別な権限はありません。
あるとすれば探偵業法に基づいての「正当な業務」だけでしょう。
具体的には、張り込み・尾行・聞き込みのみです。一般の方と全く一緒です。
正当な業務を遂行している場合でも探偵は、人の生活の平穏を害してはならない等、個人の権利利益を侵害する調査は禁止されています。
当たり前といえば当たり前ですが・・・
本コラムの打ち合わせの雑談の中で警察官の給与と探偵の報酬、調査料金について話題となったので少し述べたいと思います。
警察官の給料は、年齢、勤務年数、階級、超過勤務手当などによって違うので一概にいくらということは言えませんが、自分の経験から言いますと巡査部長の時も警部補の時も、今から20年以上前の当時の手取りで35万円位だったと記憶しています。
日当換算すると1.5万+時間外手当などが加算された計算になります。
あくまでも公開されている情報として北海道警察の令和5年の30代、現場に出ている巡査部長や警部補クラスの平均年収は賞与を入れると685万円、日当換算すると約28,500円、時給換算で約3,500円位の算出となります。
さて探偵の場合です。
探偵の報酬は調査時間が幾らの世界です。各探偵社によって料金は違いますが、氏家探偵事務所では時間制(1時間単位で調査を実施)する場合、調査員1名につき、1時間6,000円です。
定額制(1週間単位で調査を実施)する場合、調査員1名1週間17.5万、日当換算すると25,000円、時給換算で3,000円の算出となります。
大工さんや重機を運転するオペレーターなど専門職と同程度の料金単価に抑えています。
稼動人員は警察の捜査ですと捜査本部が設置されたり、大掛かりな捜査でなければ1班5~6名、初動捜査は2~3名で動きます。探偵は氏家探偵事務所で言うと通常2名、多くても3名でほぼ全ての調査を実施しています。
自分は警察官(主に刑事警察)と探偵、双方を経験している訳ですが、単純には何とも言えませんが、警察官をしている時と現在の違いを聞かれれば、(仕事を)やってもやらなくても給料を貰えるのが公務員である警察官に対して、依頼人から調査依頼を受け結果を出さなければ報酬を貰えない探偵。自ずと仕事に対する向き合い方も変わってくるのではないでしょうか。
自分の場合で恐縮ですが、今になって考えると給料を貰っているんだ・・というのが前提にあったから、警察の仕事に没頭できたんでしょうね。あと元警察官だからといって張込や尾行が上手とかは決してありません。
何回もやれば身体が覚えてくれるものです。
何事も経験ですね。調査対象の生活パターンを分析したりすることも大切です。
今回は警察と探偵についてお話してきましたが、あくまでも私、稲葉圭昭と氏家探偵事務所の代表氏家の主観ですのでご容赦ください。
以上
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